“豊の国”大分県は各地の風土に根差した郷土料理を生み出している。その料理を、本場・大分生まれの麦焼酎『知心剣』と巡る旅。
第11回は由布市の「かしわ汁」を紹介する。
高原の秋は、一足先に訪れる。朝夕は涼しい風が吹くようになった由布市庄内町は、伝統の庄内神楽を代々受け継いでいる土地でもある。海から遠いこの町で、山里ならではの食文化が育まれてきた。
庄内のおもてなしに欠かせないのが、かしわ(鶏肉)を使った料理。田植えなどの地域が共同でする農作業や祭りの後には必ず「なおらい」と呼ばれる飲み会が開かれ、かしわ料理が振る舞われた。料理のそばには本場・大分生まれの本格麦焼酎『知心剣(しらしんけん)』。大勢で囲む酒席をいっそう盛り上げる立役者だ。
由布市食生活改善推進協議会の佐藤久子会長(68)は、庄内町に嫁いでからこの料理を覚えた。「庄内の嫁はこれができないと一人前じゃなかったんよ。みんな作る料理だから、風土にもこの味が染み込んでいるんじゃないかな」と微笑む。
かしわとゴボウ。たった二つの具材で作るかしわ汁がいい。ゴボウとかしわの歯ごたえと、ふんわり広がる香りを楽しんでから、『知心剣』を一口飲む。大分の方言で“一生懸命”の名が付いた麦焼酎は、原料選びから造りまで“しらしんけん”こだわった本格派。麦本来の香ばしく甘い味わいが、食材のうまみを際立たせる。
秋風に誘われるように、今日のなおらいが始まった。かしわとゴボウを甘辛く炒めてご飯に混ぜ込んだかしわ飯も並ぶ。気の置けない仲間と交わす酒は、心地よい酔いとともに温かな語らいを生む。
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