“豊の国”大分県は各地の風土に根差した郷土料理を生み出している。その料理を、本場・大分生まれの麦焼酎『知心剣』と巡る旅。
第17回は宇佐市の「かちえびちらしずし」を紹介する。
初夏の日差しが注ぐ宇佐市長洲漁港。周防灘の新鮮な魚介類が水揚げされ、かつては物流でも栄えた町だ。
長洲では花嫁を迎えた家が知り合いに「かちえびちらしずし」を振る舞う習慣があった。「かちえび」は長洲沖で捕れるアカエビ。さっと湯がいてから干し、木の棒で軽くたたいて殻を取る「カチカチ」という音から「かちえび」と呼ばれるようになったという。
かちえびの桜色が華やかなちらしずしは、花嫁のお祝いが少なくなった今も行事ごとに食卓に上るごちそう。いいことがあった日には、本場・大分生まれの本格麦焼酎『知心剣(しらしんけん)』に手が伸びる。
県漁協宇佐支店女性部長の豊永孝子さん(68)も、嫁入りの時にちらしずしを作ってもらったかつての花嫁。「多い家では何百人も呼ぶからそれはにぎやかでね。座る場所がなくて順番でちらしずしを食べたんよ」と笑う。
すしおけいっぱいのかちえびちらしずしは、新たな家族を迎えた喜びの味。えびとシイタケの風味がふんわり広がり、どこか優しい味わいがある。
地域のお祝いに欠かせない酒は、“一生懸命”を表す大分の方言から名が付いた麦焼酎『知心剣(しらしんけん)』。その名の通り原料選びから造りまで“しらしんけん”こだわった本格派だ。麦本来の香ばしく甘い味わいが、かちえびの滋味をさらに引き立てる。
海に夕日が沈むころ、今日の仕事をねぎらって港の仲間が集まった。『知心剣(しらしんけん)』のグラスを手に、自然と笑顔がこぼれる。絆を結んできたちらしずしを食べながら、くつろいだ時間が流れていく。
【企画・制作】大分合同新聞社 ビジネスコミュニケーション本部