“豊の国”大分県は各地の風土に根差した郷土料理を生み出している。その料理を、本場・大分生まれの麦焼酎『知心剣』と巡る旅。
第21回は日田市の「もみじ」を紹介する。
しんしんと冷える夜が多くなった水郷・日田。美しい川が流れ込む盆地は今、本格的な冬の到来を静かに待っている。
福岡との県境に位置し、かつては天領として町人文化が栄えた日田には独特の食文化がある。その代表が鶏の足を使った「もみじ」。郷土の食文化を伝える料理には、本場・大分生まれの本格麦焼酎『知心剣(しらしんけん)』がよく似合う。
形から名が付いた「もみじ」は、鶏の足を気長に煮込んで作られる。伝統の味を伝えようと活動する「かあちゃんの味ひいな運営協議会」の渡辺晃子代表(69)は、「まあ、食べてみて。やみつきになる味ですよ」と微笑む。前日から煮込んでいたもみじは、骨からほろっと身が取れるほど軟らかい。プルプルしたゼラチン質の皮と軟骨の程よい硬さ。甘辛いしょうゆ味と、異なる食感が調和し、止まらなくなるおいしさだ。ポイントは前回作った際の煮汁を使うこと。「味の深みと照りが全然違うの」。渡辺さんが教えてくれた。
口の中で溶ける鶏のうま味を存分に味わう酒は、“一生懸命”を表す大分の方言から名前が付いた麦焼酎『知心剣(しらしんけん)』。その名の通り原料選びから造りまで“しらしんけん”こだわった本格派。麦本来の香ばしく甘い味わいが、日田ならではの味を心行くまで堪能させてくれる。
長い西日が山に沈んだ。仲間たちと集う夜長、心を込めて煮込んだ「もみじ」の大皿に次々と手が伸びる。「もみじ」を味わったら、『知心剣(しらしんけん)』を一口。にぎやかなひとときに笑顔があふれ、身も心もじんわり温まっていく。
【企画・制作】大分合同新聞社 ビジネスコミュニケーション本部